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高齢者は「5-10歳は若返っている」-社会参加できる体制を、老年学会が声明

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 世界に類を見ない速さで高齢化が進む日本。2025年には、団塊の世代が全員75歳以上を迎える中、日本老年学会は12日、「現在の高齢者は10-20年前に比べて5-10歳は若返っていると想定される」とする声明を発表した。同学会では、今後の超高齢社会を活力あるものにするため、高齢者が就労やボランティア活動などに参加できる社会をつくることが必要と指摘している。【敦賀陽平】

 同学会と日本老年医学会は一昨年夏、一般的に65歳以上とされる高齢者の定義の妥当性を検討するワーキンググループ(WG)を設置。この日、横浜市内で開かれた日本老年学会のシンポジウムでは、WGの委員らがそれぞれの専門分野の立場から、高齢者の身体状況などの変化について発表した。

 国立長寿医療研究センターで老年学・社会科学研究センター長を務める荒井秀典氏は、内閣府が昨年12月に行った意識調査で、70歳以上を「高齢者」と考える人が多数を占め、「支えられるべき高齢者」では75歳以上が多かったと指摘。こうした結果は、年齢や性別、健康状態などに影響を受けることが分かったものの、高齢者の定義については、過去17年間で高齢化の傾向が見られたという。

 また、東大医学部附属病院・老年病科長の秋下雅弘氏は、65-79歳の高齢者で近年、脳血管疾患や虚血性心疾患など、多くの慢性疾患の受療率が減少し、要介護認定率や死亡率も同様に低下しているとして、「5-10歳の生物学的年齢の低下を示唆する」とした。

 さらに、国立長寿医療研究センターの前研究所長の鈴木隆雄氏は、旧東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター研究所)が行ったコホート調査の結果、65歳以上の高齢者の歩く速度が10年間で11歳相当も若返っていたことなどから、「高齢者の身体・運動機能は明らかに上がっている」と述べた。

 一方、聖学院大大学院・人間福祉学研究科教授の古谷野亘氏は、高齢者の就業率の低下や単身世帯の増加などの問題点を指摘した上で、社会的な地位や役割は加齢に伴って変化するため、高齢者の定義が見直されることで、社会の現状と乖離することに懸念を表明した。

 日本老年医学会の理事長で、WGで座長を務める大内尉義氏(虎の門病院院長)は、今後も身体能力が改善し続けるかどうかは不透明なことなどから、「例えば75歳以上にすればいいとかいう単純な話ではない」とし、慎重に検討していく考えを示した。WGでは、年度内に検討結果をまとめた報告書を公表する方針だ。

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